101「蘇陽町」102「熊本県」
◯設置されている道路:山都町道(国道218号線旧道)
◯概要:今回から熊本県熊本市から宮崎県延岡市に至る国道218号線旧道の白看群を紹介する。九州の真ん中を東西に貫くこの路線は、1953(昭和28)年5月に二級国道熊本延岡線として指定施行された。しかし、九州山地を越える熊本県・宮崎県の県境付近から、宮崎県五ヶ瀬町〜高千穂町にかけての区間は急勾配、急曲線の箇所が続き輸送上のネックとなっていた。そのため線形不慮箇所の改良を目指し、昭和40年代の後半から昭和50年代にかけて一次改築事業が行われ、宮崎県内のほとんどの区間がバイパス化された。(国土交通省の事業評価報告書)
この一次改築が行われた時期は白看時代の末期から白看廃止のすぐの頃にあたる。そのためか、旧道区間には数多くの白看が残されており、九州でも屈指の「白看特異点」となっている。
まず紹介するのは熊本県と宮崎県境にある101と102のセット。地形図などには名前が出ていないが、県境があるのは「鏡山峠」というらしい(角川日本地名大辞典:この峠の南側にある標高916mの鏡山より)。写真を見ていただくとわかるが片側1車線未満の狭隘路である。1979(昭和54)年、五ヶ瀬バイパスの完成によって新道化された。
この白看は東向きに立っている熊本県側のもの。101にある「蘇陽町」は2005(平成17)年に周辺の1町1村と合併、山都町になっている。この白看を取材したのは2010年だからかれこれ5年間、昔の名前で出ている状態である。普通、山奥の白看でも市町村名が変更されると撤去、もしくは修正の対象になるのだが、これは稀有な例ではないだろうか。
ここは流石にストリートビューはないので、かつてのあっさり取材をカバーすることはできないが、裏面はおそらく両方の標識とも薄い補強鋼の「二型」である。盤面はその補強鋼の部分から錆が回っているのか、かなり傷みが激しくなっている。盤面自体はわりかし大きめのもので、国道たる矜持であるとも言える。また、まわりは矢部土木事務所による標識群に脇を固められ、酷道の存在感を十二分に表している。
大型貨物自動車等通行止
車輛総重量 8t以上 大型特殊車長 8m以上 矢部土木事務所
お知らせ
これより40kmの区間は崖くずれ等のおそれがあります
降雨量 200ミリメートル
時間雨量 30ミリメートル
最大風速 30メートル
積雪及び凍結になると
通行止を行います 矢部土木事務所長 矢部警察署長
うーん。わくわくする道路であることは間違いない。
2014年6月14日現在、鏡山峠の宮崎県側の区間がストリートビューで公開されている。Googleのカバーぶりは執念とも狂気とも感じられるようになってきた。
◯場所はこちら
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